不安とか問題点は?
定期借地権は新しい制度だけに貸す側、借りる側ともに様々な不安や、問題点があります。相続税の評価や権利金、保証金の扱い、また将来の返還のときの問題点など、不安を感じる人もいるでしょう。貸す側、借りる側ともにこれらの不安や問題点を、弁護士や、税理士、信託銀行、住宅会社そして我々不動産会社などの専門家に相談し、解消させておく必要があります。新しいシステムですから、確かに問題点も多く有ります。しかし、多少の不安とともに多くのメリットを評価し、前向きに捉える姿勢がなくては、定期借地権の貸借は成り立ちません。
ここでは、貸す側、借りる側がそれぞれ抱いている不安や問題点の主なものを取り上げてみました。貸す側は借りる側を、借りる側は貸す側の不安や問題点を知り、お互いに納得して契約することが大切だからです。皆様の不安や問題点の解消のお役に立てれば幸いです。
A1.
権利金とは土地を借り受ける時に貸す側に支払うお金で、借りる側への返却はありません。定期借地権以前の普通借地権では、権利金の授受が一般的になっており、金額も高額になっていました。いったん貸すとなかなか戻ってこないことが多かったからです。しかし定期借地権は「必ず戻る」ことを保証する制度です。そのため、普通借地権に比べ、当然、権利金は低くなるでしょう。今までの事例では土地評価額の1割から3割がだいたいの目安になっています。もちろん貸す側は借りる側に返却する必要はないのですから、その年の不動産所得として扱われ、税引きされるので、貸す側が得られるのはこれより更に低い金額になってしまいます。
この権利金に対し、定期借地権の中では保証金についてが一般的です。保証金とは敷金のように預り金的な性質を持っており、課税対象にならないお金です。ただし使途についてはかなりの制限を受けます。
以上のことから土地を貸すオーナーにとって、権利金は返却の必要はないが課税対象になり、保証金は課税されないが将来返却の必要があるという点が、メリット、デメリットになります。金額や金利の情勢にもよりますが、契約期間が長いことを考慮して、税引き後の権利金収入とその運用益、保証金の運用益を比べる必要があるでしょう。 借りる側にとっては当然、途中解約でも戻ってくる保証金が有利です。権利金が有利になるのは保証金より権利金の額が低く、地代のトータルも軽くなる場合くらいでしょう。ただ、法人などで権利金が償却できるようになると金額や地代との関係で事情が変わる可能性もあることを留意しておかなければなりません。
A2.
契約終了時に建物を取り壊して更地で返却することは制度が保証していますが、その時、本当に確実に取り壊してもらえるのか、といった不安もあります。
しかし、そのために保証金があります。保証金を取り壊しの担保にすれば安心です。権利金方式の場合は取り壊し代を積み立てて貰うような内容の契約を交わす方法が必要となります。
A3.
借りる側が、土地を必ず返還しなければならないように、保証金も確実に返却されるシステムですが、何十年先に本当に返還されるのかどうか、という不安を解消する必要があります。
それには土地に抵当権を設定するとか、保証金に相当する預貯金などに質権を設定し、対応しておく必要があります。
A4.
従来の普通借地権では権利金の授受が一般的でした。定期借地権においても同様に権利金か保証金の授受が定着しつつあります。ただし、金額については、定期借地権の存続期間の長短や地代の水準、さらに立地条件等によっても異なることになるでしょう。
現在、首都圏で行われている期間50年の一般定期借地権を利用した分譲住宅では、保証金は土地の価格の2割から3割程度になっています。
ちなみに、地代の額と、権利金や保証金の額は、前者が高くなれば後者が下がり、前者が低くなれば後者が高くなる傾向があります。このため地代を高くして権利金、保証金を抑えたりする方法もあります。
A5.
定期借地権での土地の賃貸について、地代収入を決める算式はありません。地代は本来、貸し手と借り手の合意、つまり、需要と供給のバランスで決まるものだからです。 目安としては従来の借地契約と同程度の水準が考えられます。さらに今後は、固定資産税や都市計画税が相当に変動することが予想されます。したがって、純地代を決め、それをベースに一般物価の上昇や固定資産税の変動を反映させるように、きちんと契約しておく必要があります。貸す側にとっても借りる側にとっても将来の値上げの根拠を明確にし、双方で、事前に納得しておくべきでしょう。
なお、現在先行して行われている事例として定期借地権付分譲住宅がありますが、首都圏では土地価格の2~3割程度の保証金で、近隣マンションの管理費+駐車場料金の地代になっているケースが見られます。私たちが扱った物件に関しては保証金を土地価格の2割程度に抑え、地代を土地価格の0.06%程度に設定しております。
土地の所有者に相続が起きた場合でもそのまま当初の契約通り借地を続ければよく、特別な手続きなどは不要です。土地の所有者に相続が起きた場合でも、当初の契約は相続人等にそのまま引き継がれることになります。相続が発生したことによる有利、不利はありません。したがって、契約違反をしている場合を除いて、借地期間が満了することはありませんし、再契約の必要もありません。仮に双方から契約内容の変更の要求があっても納得できなければ応じる必要はなく、そのことによって契約の強制的な変更は認められません。
一般の住宅を建築する場合、住宅の仕様が住宅金融公庫の基準に適合していれば、融資を利用することが出来ます。なお、建物に対して住宅金融公庫は抵当権を設定します。 建築費以外に必要になる保証金や権利金の融資については、現在のところ住宅金融公庫や銀行の住宅ローンなどは一部の銀行を除いて利用できるようにはなっていません。
現時点では勤務先からの融資や、信販会社、リース会社等からの融資で対応するか、保証金の返還請求権に質権を設定することで融資が行われているケースがあります。
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